中小企業が現実的に挑む新サービスのつくり方 ~現場を変えずに生まれる新サービス~

「うちには新規事業なんて無理」……そう思っていませんか?
こんにちは。
この記事は、倉庫業・運送業・作業請負業といった現場主導型の業種において、日々の仕事に真剣に取り組みつつも「このままで将来は大丈夫だろうか」と感じているあなたに向けたものです。
「新規事業」「新サービス」と聞くと、多くの中小企業の方が、「うちにはそんな余裕もノウハウもないよ」と口を揃えます。
でも、実は“現場作業そのまま”で、新たな価値を生み出すことだってできるのです。
今回お伝えしたいのは、中小企業が現実的に取り組める“無理のない”新サービスのつくり方です。
下請けに案件に依存すると、判断の自由が奪われる
今、社会や経済の変化はますます激しくなっています。
そんな中、下請け的な案件ばかりに依存していると、自社の意思ではなく元請けや取引先の都合に振り回されるリスクが高まります。
たとえば価格交渉、納期調整、業務範囲の拡大。
こういった変化に対して、自社独自の判断で対応できないと、元請けに振り回されて疲弊してしまいます。
それどころか、元請けと共倒れになるリスクすらあります。
だからこそ、中小企業であっても「自社独自のサービス」を持つことが重要なのです。
このことについては、別の記事でも詳しく記載しています。(こちらをご参照ください)
自分たちでお客様に提案し、価格を決め、業務の設計を行う——そうした主体的な立ち位置を確保することが、生き残るために不可欠です。
「新サービス=ゼロからの開発」ではない
新サービスというと、多くの方が「今までとまったく違うこと」を考えがちです。
たしかに、大企業であれば、新しい分野・新しい顧客に挑戦して成功すれば、大きな成長が見込めるかもしれません。
しかし、そのような「多角化」への挑戦の成功率は低く、失敗すれば多額の投資が無駄になります。
中小企業がそうしたギャンブル的な挑戦をするのは非常にリスキーです。
既存の知見が少ない分野に進出するということは、初期投資も教育も試行錯誤も膨大になる可能性があるからです。
中小企業にとって必要なのは、「いまあるもの」を活かして生み出す、無理のない形の新サービスです。
新サービスが生まれた瞬間の”気づき”
私が30歳を過ぎて物流会社に転職したとき、ちょうど書類保管サービスの現場に携わっていました。
業務はいたってシンプル。
顧客の書庫から書類を預かり、整理し、必要に応じてスキャンして管理するというものでした。
ある日、ふと気がついたのです。
「なぜ、依頼される書類はほとんど契約書ばかりなんだろう?」
そこで、既存のオーダーシステムにPDFの参照機能を加え、サービスの名前を「契約書管理サービス」に変更。
そして営業のアプローチ先を、総務から法務部門に変えてみました。
するとどうでしょう。リーガルテックがまだ広まっていなかった当時、このサービスは静かな注目を集めることに成功したのです。
現場の作業は同じでも、価値が変われば“別のサービス”になる
この事例のポイントは、「やっていることはまったく変わっていない」ということです。
作業も使う道具も、実施する担当者も同じ。
でも、「誰のために」「何のために」行うかが変わったことで、まったく新しいサービスに生まれ変わりました。
従 来:総務部門に対して、「オフィスが片付く」「スペースが空く」という価値を提供
変更後:法務部門に対して、「更新期限の管理」「法的リスクの可視化」という価値を提供
まさに、ターゲットと価値を変えただけで、新しいサービスが生まれたわけです。
価値の再定義がカギになる
中小企業が現実的に新サービスをつくるなら、この「価値の再定義」がもっとも効果的です。
・今の業務を、別の相手に届けられないか?
・今の業務を、別の視点で見るとどんな価値になるか?
・今の仕組みに、少しだけ機能を追加したらどうなるか?
こうした問いを繰り返していくことで、既存業務の中から新たな“見え方”が生まれてきます。
「リスクを最小限にした新サービス」は中小企業の現実的な選択肢
重要なのは、設備投資をせずに、失敗リスクを抑えた形で取り組めること。
このやり方であれば、大きな資金や特別な人材がいなくても始められます。
つまり、「自社にしかできないやり方」「自社ならではの強み」を“再発見”して、少しだけ組み替えることで、まったく新しいサービスとして打ち出せるわけです。
新サービスは「創る」のではなく「発見する」
このブログを読んでいるあなたは、日々の業務の中で、多くの作業を当たり前のようにこなしていることでしょう。
でも、ふと立ち止まって考えてみてください。
「この作業って、誰にとってどんな価値があるんだろう?」
「別の業界の人が見たら、どう感じるだろう?」
そこにこそ、新サービスの“種”が眠っています。
いや、新サービスは創り出すものではなく、発見するものなのです。
最後に:できることから、やってみませんか?
新サービスづくりは、決して遠い話でも、特別な会社だけの話でもありません。
中小企業の現場でこそ、今ある資源と視点を変えるだけで、まったく新しい価値が生まれます。
まずは、「いまやっている業務」の中で、少しだけ角度を変えてみるところから始めてみてください。
その積み重ねが、やがて“自社独自のサービス”となり、会社の未来を大きく変える一歩になるはずです。