販売代理店の存在が営業を弱くする ~代理店の正しい活用法~

「代理店があるから安心」……本当にそうですか?

こんにちは。
もしあなたが今、倉庫業・運送業・作業請負業を経営していて、ここ最近の営業の伸び悩みにどこかモヤモヤしているなら、今日の話はおそらくあなたのためのものです。

「うちは販売代理店がいるから安心だよ」——そんな風に考えていませんか?

たしかに、販売代理店は新たな商機をもたらしてくれる、ありがたい存在です。
でも、販売代理店の存在に甘えてしまうと、あなたの会社にとってとても大切な“営業力”を静かに、しかし確実に弱体化させてしまう危険性があります。

今日は私の実体験をもとに、「中小企業」にとっての「代理店」活用法について、考えてみたいと思います。

かつて私が販売代理店に頼りすぎてしまった話

以前、私は倉庫内で行っていたあるデータ加工作業をサービス化しました。
ニーズはあるはず……そう思ったものの、なかなか直接の引き合いを得ることができずにいました。

そこで、あるクラウドシステムを販売していた企業と提携し、彼らを販売代理店として私のサービスを組み込んでもらいました。
結果は上々。その代理店経由で多くの案件を受けることができ、会社の売上も大きく伸びました。

「これで一つの型ができた」——その時は本気でそう思っていたのです。

落とし穴は、意外なところにあった

ところが、私の会社で人事異動があり、担当するチームメンバーが一新されたところから、状況が変わり始めました。

新しいチームのメンバーは、案件をどうやって捌くかばかりに奔走。
販売代理店から案件が来るのが当たり前という感覚で、そもそも「お客様はなぜ困っているのか」などという視点は一切なくなっていったのです。

さらに深刻だったのは、「案件を自ら作る」という発想が社内から消え始めたことです。

リストを作る、電話をかける、レターを送る。
そんな“泥臭い営業”は非効率でやりたくない。
代理店が仕事を持ってくるなら、それで十分じゃないか——そう思い込んでしまったのです。

代理店依存の危険性に気づくまで

当時は売上も順調だったので、誰もその危険性に気づこうとしませんでした。
でも、ある時期から代理店経由の案件数が鈍化してきました。

まさに、その時が来たのです。

誰も直販の営業体制を維持してこなかった会社には、次の一手がなかった。

「どうやって直販の営業体制にしていくか?」
「営業戦略はどう見直す?」

そう問いかけても、誰も答えられない。
なぜならば、代理店がすべてやってくれていたから。

そのとき初めて、私は痛感しました。

販売代理店は、売上をつくってくれる一方で、営業という企業の“生命線”を蝕んでしまうことがあるのだと。

中小企業こそ、直販比率を意識せよ

これは、痛い目に遭った私からの強いメッセージです。

中小企業であればあるほど、営業の主体性を手放してはいけません。
販売代理店に依存しすぎると、自社の売上をコントロールできなくなります。

何より怖いのは、もしもその販売代理店との関係が終了してしまったらどうするのか?
その時、あなたの会社の営業は再起できるでしょうか?

私は、自社の直販比率を常に50%以上に保つことを意識しています。
代理店はあくまで“補完的な存在”。
主軸は、自社の営業チームであるべきなのです。

代理店は「営業戦略の材料」として活用せよ

それでも、販売代理店の存在は決して悪ではありません。
むしろ、代理店をどう活用するかが問われているのです。

私が今、大事にしているのはこういう考え方です。

代理店は「市場のセンサー」です。
代理店が持ってきた案件の中に、自社サービスがハマる領域があるならば、それは“直販で攻めるべき領域”です。
つまり、代理店を通じて見えてくる市場のニーズを、自社の直販営業に展開していくのです。

日頃から代理店案件にアンテナを張る

では、どうやってその兆しを見つけるのか?

代理店経由の案件対応時に、次のような質問をする習慣を身につけましょう。

  • 「どうしてこのご相談をされたんですか?」
  • 「こういった困りごと、他社さんでもあるんですかね?」
  • 「最近、こういう相談って多いんですか?」

こうしたヒアリングから、業界共通の困りごとや、地域特有のニーズが浮かび上がることがあります。
もしそれが、自社の特徴と重なるようであれば、 それが“直販で攻めるべき領域”なのです。

直販と代理店営業は「対立」ではなく「両輪」

よく「代理店 vs 直販」という構図で語られることがありますが、それは違います。
この2つは競合するものではなく、協調・連携させるべきものです。

代理店から得た案件で見えたニーズや傾向を、直販営業の戦略にフィードバックする。
直販営業で見えてきた傾向を、代理店向けの提案資料に反映させる。

こうして、営業戦略が「代理店」と「直販」で双方向に循環するようになれば、営業力は確実に強くなります。

「楽な営業」ではなく「強い営業」を目指そう

売上を追うだけの営業活動は、楽な方に流れていきます。

代理店に案件をもらって、それを処理する。
たしかに、それでも数字は立つかもしれません。

でも、もし代理店が離れていったら? あなたの会社の営業はどうなりますか?

代理店の存在はありがたい。
でも、それだけに依存してはいけない。

営業の強さとは、泥臭くても「自分たちの手で案件をつくる力」にほかなりません。

最後に:あなたの会社は「依存」していませんか?

いま一度、問いかけてみてください。

「うちの営業は、自分たちの力で案件をつくれているだろうか?」

もし、少しでも不安があるなら、直販営業の体制づくりから手をつけてみてください。
その第一歩として、代理店経由の案件を“営業の材料”として活用するところから始めてみるのはいかがでしょうか?

「中小企業」が生き残っていくためには、戦略的な営業体制が欠かせません。
「代理店」も「直販」も、どちらも正しく活用して、強い会社をつくっていきましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です