新規取引先開拓を成功させる必勝法 ~「売り先」から考える営業戦略づくり~

いつの時代も変わらぬ中小企業の課題とは?
中小企業が抱える悩みは、時代によっていろいろ変わります。
最近だと、原材料費や人件費の高騰、価格転嫁、新商品開発などがよく話題になります。
ところが、どんな時代でも、上位にきている課題があります。
何だと思いますか?
それは、資金繰りと新規取引先の開拓です。
この2つの課題は、切っても切り離せない関係にあるといえます。
資金繰りを改善したいなら、方法は基本的には3つしかありませんです。
売上を上げる、原価を下げる、そして経費を削る。
この中で、売上を上げるという視点からみると、「既存顧客からの売上を増やす」か「新規取引先を開拓する」かの2つしかないんですよね。
新規開拓が難しい理由
原価を下げたり経費を削るのは、これまでの自社の実績や経験に基づいて考えられるから、比較的ロジカルに対応できるもの。
でも、新規取引先開拓は違います。
なぜかというと、未知への挑戦を含んでいるからなんです。
相手の業界も状況も分からないところに飛び込むわけですから、不安になって当然ですよね。
でも、心配いりません。順を追って考えていけば、新規開拓もぐっと現実的になります。
営業戦略の基本「売りモノ・売り先・売り方」
商品やサービスを売るには、「何を、誰に、どうやって売るか?」を考える必要があります。
つまり、「売りモノ」「売り先」「売り方」です。
当然、「売りモノ」を変えていくことによって、新規取引先を増やしていくことも可能です。
ただ、それは「新規取引先開拓」というよりも「新商品・新サービス開発」になります。
「新商品・新サービス開発」には、時間とコストがかかります。
そのため、優先的に考えるべきなのは、「売りモノ」を変えるよりも「売り先」と「売り方」を変えていくことです。
そしてここで大事なのは、この2つの要素のうち「売り先」から考えるということ。
なぜかというと、売り先を決めれば、売り方は自然と決まってくるからなんです。
倉庫業の例で考えてみましょう
例えば、あなたが倉庫サービスを提供している会社の経営者だとしましょう。
「売り先」を考えるとき、まずは自社の強みを明確にすることが大事ですよね。
たとえば、高速道路のIC近くに倉庫があって、全国出荷が便利という点がアピールポイントだったとします。
そうすると、「売り先」は、全国に商品を出荷している近隣のメーカーの工場になりますよね。
このときの「売り方」は、自然と「当社はICが近いので、出荷が効率的にできますよ」という提案になるわけです。
きちんと順を踏んで考えていけば、誰にどう売ればいいかが自然と決まってくるんです。
新規開拓のヒントは、既存顧客にある ~たった4つのヒアリング~
新しい取引先を見つけるためのヒントは、既存顧客が持っています。
なぜなら、いま現在、お金を払ってまであなたのサービスを使ってくれているからです。
だから、まずは既存顧客にヒアリングすることから始めましょう。
聞くべきことは、たった4つです。
- もともとどういう困りごとを抱えていたのか?
顧客がサービスを導入する前に、何に困っていたのかを詳しく聞き出します。
どんな痛みがあって、あなたのサービスにたどり着いたのか。
お金を払ってまで解決したい痛みの正体をはっきりさせることが、一歩目のヒアリング事項です。 - その困りごとはなぜ発生していたのか?
その会社個別の事情なのか、業界特有なのか、それとも地域的な背景があるのか。
ここを掘り下げることで、「売り先」となる条件が見えてきます。 - 困りごとを解決するのに役立った機能とは?
自社サービスのどの機能が本当に効いたのか?
「あってよかった」ではなく、「なければ契約しなかった」レベルのものを突き止めましょう。
「なければ契約しなかった」機能こそが、売れる機能です。 - その機能がどう困りごとを解決したのか?
単に機能があるだけでは意味がありません。
どう作用して解決したのか、プロセスまで把握するのが大切です。
情報を「抽象化」して新しい売り先を見つける
ヒアリングで得た情報をそのまま使うのではなく、そこから一段掘り下げて「抽象化」しましょう。
例えば、「物流コストが高いのが悩みだった」という顧客がいたとします。
なぜコストが高かったのかと聞くと、「遠方の得意先が多くて配車効率が悪かった」という理由が見えてきたとします。
この場合、「遠方に頻繁に出荷する製造業」という条件を「売り先」として抽象化できます。
こうやって条件を広げていけば、似たような困りごとを抱える別の企業にもアプローチしやすくなりますよね。
「売り方」は自然と決まる
こうして「売り先」が決まれば、自然と「売り方」も見えてきます。
「○○という困りごとで悩んでいませんか?」
「それは、御社の□□という事情からきているのでは?」
「うちのサービスには、△△という機能があります」
「その結果、××という形で問題を解決できます」
こんな風に、売り方が決まってきます。
もちろん、最初から当たるとは限りません。
仮説が外れたら、また違う仮説を立てればいいだけの話です。
闇雲な営業をやめて、「確率の高い営業」を
どうでしょうか?
手あたり次第に電話をかけたり、展示会に出たりするのも一つの手ではありますが、効率は良くないですよね。
今回お話ししたやり方であれば、限られたリソースの中でも「確率の高い営業」ができるようになります。
ぜひ、実践してみてください。