中小企業の経営戦略にそのまま活用できる「シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント」

中小企業経営者・役員のあなたへ ~この記事で試みたいこと~
あなたの会社では、こんな悩みを抱えていませんか?
- 新規事業の開発に取り組んでいるが、思うように結果に繋がらない。
- 新規営業開拓を進めているが、壁に当たっている。
- 危機感をもって経営の舵取りをしているが、従業員のモチベーションがあがらない。
こういう悩みを抱えている場合、ナヴァル・ラヴィカントの考え方があなたにとっての参考になるかもしれません。
ナヴァル・ラヴィカントという人物をご存じでしょうか?
インド生まれのアメリカ人起業家で、投資家でもあります。
このラヴィカントのことを書いた書籍「シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント」(エリック・ジョーゲンソン著、サンマーク出版)には、事業経営をしていくうえでも非常に重要な示唆がいくつも書かれています。
この本は一見すると、今風な”起業”・”金儲け”の本のように思えるかもしれません。
しかし、そこに記載されている本質を抽出していくと、個人や組織の戦略にとって極めて重要な知恵ばかりが記載されていることに気づきます。
この本に記載されていることは、私自身の経営に対する信念・哲学とも重なるところが多くあります。
そこで、きょうは、この本の内容を紹介しながら、経営に活用できる考え方を解説していきたいと思います。
※以下は、私が過去にwinston名義で発信しているブログに記載した内容をもとに、今回の記事でお伝えしたいことを踏まえて編集しています。
ナヴァル・ラヴィカントの5つの主張
ナヴァル・ラヴィカントから学べる経営上の「知恵」は、次の5つに集約されるといえます。
- あなたらしさを貫くことが、あなたの「強み」だ
- あなたの「特殊知識」を、社会が向かおうとしている場所に一致させよう
- 「やりたいこと」を貫くことが、あなたの使命
- 「いまこの瞬間」に没頭すること
- 「努力」よりも「判断」の方が重要だ
では、ラヴィカントの主張に、私の勝手な解釈を入れながら順に見ていきましょう。
①あなたらしさを貫くことが、あなたの「強み」だ
社会の流れに自分を合わせるのではなく、まずはかけがえのない存在である「あなた自身」から思考をせよ。
あなた自身が「好きなこと」「得意なこと」に、100%全身全霊をあげてとにかく没頭する。
それは、学業や仕事でなくても構わない。スポーツ・旅行・ゲーム。なんだって構わない。
他の人にとっては、時間と労力をかけることが耐えられなくとも、あなたならば苦もなく没頭できる。
そうして「好きなこと」「得意なこと」を追求していくことで、普通の人ならば「知らない」「できない」ことを、あなたはできるようになる。
それが、あなた自身に特有の「強み(=特殊知識)」になる。
「何をすべきか?」ではなくて、「何をしたいか?」という知的好奇心を原点とするべき。
これが、あなたを「競争のワナ」から抜け出させて、成功に導く第一歩となる。
②あなたの「特殊知識」を、社会が向かおうとしている場所に一致させよう
あなたの強みである「特殊知識」を手に入れたら、今度は、それを社会が向かおうとしている場所に一致させる努力をしよう。
社会が抱えている課題、それは高尚なものでなくとも構わない。
誰かが求めていることならば、それでいい。
その「社会が求めている」けれども、「その解決方法をどうやって手に入れるかはまだ知らない」。
そういうポイントに向けて、あなたの「特殊知識」を重ね合わせていくのだ。
そうすれば、社会があなたを求めるようになる。
③「やりたいこと」を貫くことが、あなたの使命
私たちは、子どもの頃からさまざまな価値観を後天的に学んできた。
社会の考え、先生の考え、親の考え、会社の考え、友人の考え。
他人があなたに期待すること。
でも、あなたが誰かの期待を裏切ったとしても、それはその人の問題だ。あなたの問題ではない。
だから、他人を喜ばせることに時間を使ってはならない。
彼らが幸せになるかどうかは、彼らの問題だ。
あなたの使命は、あなたの「やりたいこと」を貫くことだ。
それがあなたを幸せにする。
④「いまこの瞬間」に没頭すること
過ぎ去った過去は、どんなに嘆いても元には戻らない。
そして、まだ到来していない未来をどんなに不安に思っても、何も状況は変わらない。
あなたがコントロールできるのは、「いまこの瞬間」だけだ。
過去から学んだことを活かして、「いまこの瞬間」に全力で臨めば、その積み重ねの向こうにあるあなたの未来も、きっと良いものになる。
禅の世界でも「只管打座」という言葉がある。
座禅を組んでいるときは、ひたすら座禅をしている自分になりきる。
掃除をしているときは、掃除をしている自分になりきる。
「いま、ここ、自分、この瞬間」に全精力を注いで没頭する。
この繰り返しが、あなたを成長させるのだ。
⑤「努力」よりも「判断」の方が重要だ
「努力はウソをつかない」
あなたも何度も耳にしてきた言葉ではないだろうか?
でも、そこには大事な前提がある。
「ただし、努力の方向性が間違っていなければ」だ。
東京から大阪を目指すとしてみよう。
飛行機、新幹線、高速バス、自転車、徒歩…。手段は自由だ。
けれども、東京から北へ向かったら、いくら努力をしてもたどり着くことはない。
あなたがどれだけ努力をしたかではない。どこへ向かって進み始めたかだ。
ラヴィカントは「努力の99%は無駄になる」と言う。
あなたが努力を始める前に、残りの1%の方向を見つけること。大事なのはこの「判断」だ。
ナヴァル・ラヴィカントに学ぶ経営戦略
ここまで、ナヴァル・ラヴィカントの5つの主張をみてきました。
ここで、5つの主張にある「あなた」の文字を「あなたの会社」に換えて読んでみてください。
どうでしょうか?
会社や事業の戦略にも、そのまま当てはまると思いませんか?
①あなたの会社らしさを貫くことが、あなたの会社の「強み」だ
時代の流れや流行に惑わされることなく、あなたの会社が本来もっている力、「得意なこと」にこそ着目をするべきです。
社会の変化や技術の進歩のなかで、あなたの会社が積み重ねてきたものを過小評価しがちですが、そこから離れては「青い鳥」は存在しません。
「青い鳥」はあなたの会社の手の中にあるのです。
②あなた会社の強み「特殊知識」を、社会が向かおうとしている場所に一致させよう
社会の流れのなかで、あなたの会社が持つ特有の強みが、社会から求められるタイミング・シーンが発生するかもしれません。
そういったポイントを見出すことができれば、新規営業開拓も相当ハードルが下がります。
法規制の変化、社会の変化、技術の変化。
これから起きるであろう変化を先回りして、発生する困りごとを想定して、それをあなたの会社の「特殊知識」で解決できないかを考えてみるのです。
ピーター・ドラッカーは「マーケティングとはセールスを不要にするものである」と言いました。
ラヴィカントの主張は、ドラッカーの言葉を違う確度から言っているもののように聞こえます。
③「やりたいこと」を貫くことが、あなたの会社の使命
株主、銀行、取引先、業界団体…。
あなたの会社に対して、「こうすべきだ」という主張を持つ人たちは多くいるでしょう。
けれども、あなたの会社はそういったステークホルダーを喜ばせるために存在しているわけではありません。
むしろ、経営者であるあなたや、従業員、その家族を喜ばせるために存在しています。
あなたの会社がやりたいことを貫いていくことが、あなたの会社を幸せにして、引いてはステークホルダーを満足させます。
ステークホルダーを満足させることは、目的ではなくて、結果に過ぎません。
④「いまこの瞬間」に没頭すること
過去の経営の失敗を引きずっていませんか?
これから起きるであろう未来の経営課題を前に、不安に思っていませんか?
過去に起きたことは変えられず、未来もコントロールはできません。
あなたの会社ができるのは、きょう1日、この1か月、この1年をただ必死に突き進むことです。
時として、雑音が入ってくるときもあるでしょう。
けれども、あなたの会社の責任を取れるのはあなただけ。
思うままにあなたの会社の舵取りに一意専心で臨むことで、未来は良い方向へ向かっていくはずです。
⑤「努力」よりも「判断」の方が重要だ
たとえ毎日必死の「努力」をしたとしても、あなたの会社の戦略という「判断」に誤りがあれば、事態は良い方向には進みません。
従業員はあなたの定めた戦略にしたがって、毎日必死に「努力」をします。
大阪を目指すという「判断」も、西へ進むという「判断」も、新幹線に乗るという「判断」も、多くの人の「努力」が実を結ぶためにはその「判断」が正しいものであることが前提となります。
だから、戦略という名の「判断」をする経営者の責任は重大なわけです。
まとめ
どうでしたでしょうか?
ナヴァル・ラヴィカントの主張を「あなたの会社」に置き換えたら、経営の要諦を示す言葉になったと思いませんか?
もちろん、言うは易く行なうは難し。
それぞれの会社に応じて条件も異なるので、これをどう実行していくかについては悩みが多いと思います。
それでも、何か大きな判断をするとき、思ったように進まないときなど、節目でラヴィカントの言葉を思い出してみると、冷静になって正しい方向に会社を導くことができるのではないかと思います。