営業に使いこなしたい「数字の魔力」 ~中小企業の営業活動を変える小さな工夫~

こんにちは。いつもこのコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
今日は、営業活動をもう少し楽に、そして成果が出やすくなる「ちょっとしたコツ」をお話しします。

特に、倉庫業・運送業・作業請負業を経営していて、営業に苦戦しているあなたには、きっと響く内容だと思います。

私自身、営業の現場に長くいて、「どうしたらお客様がもっと興味を持ってくれるのか?」と、ずっと試行錯誤してきました。
その中で気づいたのが、「数字の持つ力」、いわゆる“数字の魔力”です。

これを使いこなせれば、中小企業の営業活動のポイントを押さえて、営業生産性を高めることができるはずです。

ぜひ、あなたの会社でも試してみてください。


高校野球で体感した「数字の魔力」

少しだけ、私の昔話をさせてください。
私は学生時代、ずっと野球をやっていました。決して強い高校ではなかったんですが、甲子園に出るような強豪校と試合をすることもありました。

そういう試合は、正直ドキドキします。
「気持ちで負けるな」と監督にはよく言われましたが、やっぱり弱気になってしまう場面がありました。

たとえば…

  • 格上校と対戦して、いきなり先制点を取られたとき、スコアボードの「1」がいやに大きく見える。
  • チャンスでランナーを得点圏に置いているのに、2ストライクまで追い込まれて黄色いランプが「2つ」点灯したとき。
  • 満塁で次の打者を迎えて、ボールカウントが「3つ」点灯して”押し出し”になる悪いイメージがよぎったとき。

まだ結果は出ていないのに、目に見える「数字」によって、気持ちが引っ張られてしまうんです。
こういう経験は、あなたにもありませんか?

今思えば、これは「自己暗示」とも言えますが、私は“数字の魔力”だと感じています。


数字はただの情報…なのに感情を動かす

数字というのは、本来はただの客観的な情報ですよね。
たとえば「1点」とか「2ストライク」とか「3ボール」とか。

でも、その数字に私たちは意味を勝手につけてしまいます。
「また負けるかも…」「ピンチだ」「押し出しになりそう…」

この勝手な意味づけが、自信をなくしたり、ミスを誘ったりするんです。

そう、数字は感情を動かすのです。

実はこの“数字の魔力”、営業活動やマーケティングでもよく使われているんですよ。


タウリン1000mg、レモン50個分…数字が生む誤解と魅力

「タウリン1000mg配合!」
あなたも、このフレーズをテレビCMで聞いたこと、ありませんか?

「おお、タウリンが1000mgも入ってるのか!すごいパワーが出そう!」と感じますよね。
でも、実は1000mgというのは1g。

「タウリン1g配合!」って言われたら、そこまでインパクトないと思いませんか?

さらに調べてみると、実際にタウリンの効果を期待するなら3000mg~6000mgは必要とか。
つまり、CMで感じた「すごい!」は、見事に“数字の魔力”にやられているわけです。

もうひとつ、よく聞くのが「レモン50個分のビタミンC!」というフレーズ。

「レモン50個分って、めちゃくちゃ健康になりそう!」って思いますよね。
でも、実際はレモンの果実部分のビタミンC量(約20mg)を基準に計算されていて、50個分=1000mg、つまり1gです。

それなら「ビタミンC 1g配合!」と同じ。
でも、それじゃ誰も見向きもしない。

それに、実はレモンの皮には約80mgものビタミンCが含まれていて、厳密にいえばレモン1個のビタミンCは100mg。
本当のところ、ビタミンC 1000mgはレモン10個分にすぎません。

こういった例からも分かるとおり、情報の受け手である私たち消費者は、すべてに対して厳密な検証はしません。
その代わりに、数字を頼りに「話の方向性・ベクトル」をつかみ取るのです。

つまり、私たちは普段から数字に惑わされているわけです。


営業現場でも「数字の魔力」を使いこなそう

ここからが本題です。
中小企業の営業活動においても、この“数字の魔力”を活用しない手はありません。

倉庫業・運送業・作業請負業は、どうしても差別化が難しい業界ですよね。
「ウチの会社もそれなりに頑張っているけど、他社とどう違うか説明しづらい…」
そう感じたこと、ありませんか?

そんなときこそ、数字をうまく使うんです。

たとえば…

  • 「エリアカバー率93%」
  • 「車両保有台数117台」
  • 「〇〇地区 保管面積 第3位」
  • 「累計利用企業数151社」
  • 「人気No.1の〇〇サービス」

これらはただの事実を数字で伝えているだけですが、受け手は勝手に意味をつけてくれます。
「結構実績あるんだな」「信頼できそうだな」という具合に。

大事なのは、具体的な数字、そして“ちょっと半端な数字”を使うことです。


半端な数字がリアリティを生む

面白い実験があります。
道行く人にお金をもらう実験で、

「すみません、10円ください」と頼むより、
「すみません、11円ください」と頼む方が、成功率が上がるそうです。

不思議ですよね。

理由は、「11円」という半端な数字に、人は「きっと何か深刻な理由があるに違いない」と勝手に思い込むから。

営業の現場でも、これを活かせます。
「車両100台以上」より「117台」
「約90%カバー」より「93%カバー」

この具体的で、ちょっと半端な数字がリアリティと信頼感を生みます。


「数字の魔力」で中小企業の営業生産性を上げよう

中小企業の営業活動は、本当に大変です。
大手企業のように、誰もが見て分かるブランド力や知名度はない場合が多いでしょう。

だからこそ、“数字の魔力”を使って、相手の感情に働きかける工夫が必要です。

しかも、この方法はコストもかからず、ちょっとの工夫で実践できます。
営業マン個人が意識を変えるだけでも、営業生産性は確実に上がるはずです。


まとめ ~あなたも「数字の魔力」を試してみませんか?~

今回は、営業活動に役立つ“数字の魔力”についてお話ししました。

ポイントは以下の通りです。

✔ 数字はただの情報。でも、人の感情を強く動かす力がある
✔ 営業現場では、具体的でちょっと半端な数字が効果的
✔ 中小企業の営業活動のポイントは、こうした小さな工夫の積み重ね
✔ “数字の魔力”を使えば、営業生産性を上げることができる

大がかりな改革をしなくても、こういった工夫を取り入れることで、成果につなげられるはずです。

あなたの会社でも、ぜひ試してみてくださいね。

「自社の実績、どんな数字が使えるかな?」
そんな視点で、自社の営業資料やWEBサイトを見直してみるのもいいと思いますよ。

少しでも、あなたの営業活動のヒントになれば嬉しいです。


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