中小企業の新規事業開発を失敗させないための進め方 3つのポイント

新しい取組みをしようとすると現われる5つの症状
あなたの会社で新規事業や新サービスの開発をはじめとして、新しいことに取り組む場合、こんなことは起きていませんか?
- 検討が開始された後、結論が出ないまま自然消滅してしまう
- 議論ばかりが長く続いていて、一向に結論がでない
- 実行してみると、検討時には想定していなかったことばかりが発生して後戻りばかり
- 計画通りに実行したものの、思ったような成果がでていない
- スタート時に結構な投資をしてしまったので、事業を実行しながら何とかしてうまくいく道を探している
自前主義のプロジェクトチームで起きていること ~私の実体験から~
上記に挙げた「5つの症状」ですが、恥ずかしながら、すべて私が体験したことです。
私はこれまで、新規事業の開発・営業を20年近く担当してきました。
私が経験してきた会社は、自前主義の考え方が色濃く、人の和があって、自ら汗をかくことが重視される典型的な古き良き企業でした。
そのため、新規事業の取組みにあたっても、基本的には内部のメンバーが集まって進めるのが常。
新しいことを考えるにあたっては、いつも自分たちで勉強しては、頭をひねっていく。
だから、非常に勉強になりますし、自らも成長している実感をもつことができます。
なかなか成果がでなくても、社内は温かく見守ってくれる方が多かったこともあって、メンバーのモチベーションは比較的高い状態でした。
一方で、このような自前主義のプロジェクトチームでは困ったことも起きます。
まず、非常に時間がかかることです。
知識ゼロのところから、調べて、訊いて進めていくので、とにかく時間がとんでもなくかかってしまいます。
時代の変化がどんどん早まっているなかで、調査段階で大幅に時間を使ってしまうと、実行する頃には時代遅れになってしまいかねません。
次に困るのは、決まらないことです。
メンバーの誰もが経験したことがないことに取り組みますので、意見が分かれることもあります。
その際、自信をもって指針を示せるメンバーがいないので、何が正しいのかが分からないわけです。
本当は、さっさと実行してしまえばいいのですが、議論ばかりが続いてしまうことになります。
そして、何よりも困るのは、成果が出にくいことです。
分からないなかで、推測と妄想で実行に移すわけですから、やってみるととにかく想定していなかったこと、知らなかったことが大量に出てきます。
とくに、初期投資がそれなりにかかる事業だと、後戻りが非常にしづらくなり負債を抱えながらの厳しい事業運営になってしまいます。
プロジェクトの失敗に陥らないための3か条
このような私と同じ失敗を繰り返さないためには、どのようにすればいいのでしょうか?
まず第一に、「成果」の定義です。
会社においては、売上・利益が成果として位置づけられるのが通常ですよね。
しかし、新規事業・新サービスは、どうしても最初に設備投資や人への投資が必要ですし、不確実性は既存事業とは比較にならないほど大きくなります。
そのため、最初から利益を成果として定義するのは適当ではありません。
むしろ、新規事業において必要なことは、経験値です。
経験値というと非常に曖昧ですが、具体的には仮説の数と失敗の数です。
新規事業・新サービスにおいては、多くの仮説を立てて、多くの失敗、多くの方向転換を重ねるほど、成功に近づくといえるでしょう。
第二に大事なことは、「小さく試す」ことを素早く繰り返していくことです。
「成果」の定義とも繋がるのですが、経験値を増やすためには、仮説の数・実行の数・失敗の数がとても重要です。
つまり、サイクルを回すスピードをあげることです。
そのためには、大上段の構えで大きく振りかざすのではなく、小さい攻撃を何度も繰り出すこと。
そうすることで、大きな失敗を回避することができるわけです。
マネジメント側も過度の厳密さを求めることなく、粗くてもいいので前へ進むことを重視することが必要となります。
そして、第三に必要なことは、社内リソースだけにこだわらないということです。
これは、よく考えれば当然のことです。
会社にとって新しい取組みなわけですから、社内には知見・ノウハウがない。だから、外部にそれを求めることが合理的です。
ここで問題となるのは、外部リソースに対する「目利き」です。
私の経験上は、以下のような点を重視するのが良いのではないかと思っています。
①戦略や考え方ではなく、実行の支援をしてくれるかどうか。(単なるファシリテーターはいらない)
②その分野で実際に経験のある人が支援してくれるかどうか。
③方向転換や再検討にも、柔軟に対応してくれるかどうか。
とくに③は必須だと思います。
新しい取組みは、小さく試しては失敗・変更を繰り返していくわけですから、当初の想定からは変わるのが当たり前だからです。
契約内容としても、ある程度の方向性が決まるまでは月額固定などにしておいて、定まってきたら請負契約に変えていくという方が望ましいでしょう。
まとめ
今回は、中小企業において新規事業・新サービス開発を失敗させないための3つのポイントについて、解説をしました。
プロジェクトの先頭に立つ方は、非常に負担が大きくなります。
少しでも成功のためのヒントになれば幸いです。
とくに中小企業で新規事業・新サービスプロジェクトを進めようとしたとき、他にも注意するべきことがあります。
別の記事にもまとめていますので、ご覧いただければ幸いです。
>>時代の流れに飛びつくと、競争の激流に流されてしまいます。
>>自社がもともと持っている「強み」を軸足にしないと、勝てる可能性は低くなります。