あなたの会社で新規事業が進まない理由 ~倉庫業特有の企業風土とは~

「うちの会社、新しいことがなかなか進まないな…」と思ったこと、ありませんか?
あなた自身、こんなふうに感じたことはありませんか?
「うちの会社は、そろそろ新規事業に挑戦しないと、このままではジリ貧だ」
「でも、うちの会社は、どうも社内の雰囲気が新しいことに向いていない」
こういう問題に突き当たったとき、「うちの会社は」と自社の状況が特殊な状況であると考えがちですよね。
しかし、実はそれはあなたの会社特有の問題ではなく、倉庫業・運送業・作業請負業といった業界の"構造的な特性"が関係しているのではないでしょうか。
もちろん、全ての会社がそうだとは言いません。
ただ、業界全体に共通する風土や仕組みが、新規事業の進め方に影響しているケースは非常に多いんです。
倉庫業は「変化が遅い」業界だから、企業風土もそうなる
そもそも、倉庫業はどんなビジネスモデルでしょうか?
倉庫を建てるとき、多額の投資が必要となります。仮に1000坪の倉庫を坪50万円で建てたら、建設費だけで5億円。
その投資を数十年かけてじっくり回収するのが、倉庫業の基本的な構造です。
例えば、鉄筋コンクリートの倉庫を建てれば、耐用年数は38年にもなります。
この「じっくり回収」型のビジネスモデルに合わせて、企業の仕組みや風土も自然と形成されているわけです。
社員の育成も、時間をかけてゆっくりと。 組織も、安定重視で大きな変化は避ける。
社員同士の結びつきも強く、まるで大家族のような共同体的な雰囲気。
これは、決して悪いことではありません。 むしろ、安定経営には欠かせない素晴らしい企業文化ですよね。
経営環境に大きな変化がなければ。
「細く長く続ける」戦略が、新規事業の壁になる
ところが、直近で世の中の経営環境が目まぐるしく変わるようになっています。
その変化が、家族的・共同体的な企業風土の会社が、新規事業を進めるのを難しくしてしまいます。
従来から「長期的に安定した事業」が志向されてきた結果、リスクのある経営を避ける方針になっていることが多いのではないでしょうか?
また、何か新しいことを社内で始めようとすると、
「うちは昔からこうやってきたんだ」
「そんな冒険は必要ない」
という声が聞こえてきがちです。
また、社員の多くが長年勤めていることも多いので、どうしても現状維持志向が強まります。
その結果、せっかく新規事業の必要性を経営者が感じていても、社内の空気に押されて前に進まない…。
これは、あなたの会社だけの問題ではなく、業界特有の構造だといえます。
新しいことに取り組む社員が"異分子扱い"されるリスク
こんな状況に危機感をもって、ホープの社員を指名して 新規サービスの企画を任せたとしても、それで解決するモノではありません。
最初は意気揚々と取り組んでいたのに、気づけば周囲に馴染めず、孤立してしまう…。
あるいは、せっかく中途採用した優秀な人材が、「この会社、変化を嫌いすぎだ」と見切りをつけて、早々に辞めてしまう。
プライドをもって従来からの仕事をしてきた社員にとっては、「あいつらは、俺たちが稼いだ利益を吐き出している」という見え方にすらなります。
新規事業を開発するためには、担当する社員を社内の文化ごとサポートしないと、"出る杭"が打たれてしまうのが現実なんです。
打たれた杭は、やがて引っ込んでいきます。
経営者の持っている「健全な危機感」と、社員が持っている「安定への慣性」のギャップ。
これを放置していては、経営者の焦りは増し、社員の不安は募ります。
結果して、組織全体がギクシャクして不安定になっていきます。
このギャップ、放置しておくと非常に危険です。
経営者は焦る。 社員は不安になる。 結果、組織全体がギクシャクして、離職者が増える。
そうならないために、どうすれば良いのでしょうか?
少しずつ、着実に企業風土を変えることが大事
結論から言いますと、 "急激な変化は、逆効果"です。
倉庫業や中小企業の新規事業の進め方として、一番リスクが高いのは、いきなり組織全体を変えようとすることです。
なぜなら、保守的な企業風土は長年かけて出来上がったもの。
それを一朝一夕で壊すことは不可能ですし、やったとしても副作用が大きすぎます。
だからこそ、"少しずつ"、"着実に"進めていくべきなんです。
社員教育と採用方針の見直しがカギ
具体的なポイントを2つ挙げます。
まず、社員教育。
新しいことに取り組まないと、会社がどうなるのかを具体的に伝えること。
「このままではジリ貧になる」 「今のままだと、5年後に会社は傾く」 そういった危機感・切迫感を、しっかり共有することです。
次に、採用方針の見直し。
新しいことに前向きな人材を意識的に採用すること。
これまでの"安定志向"だけでなく、"挑戦志向"を持つ人材を増やしていくことです。
この2つを続けることで、少しずつ企業風土は変わっていきます。
まとめ:焦らず、でも確実に変革を進めよう
倉庫業などの物流業、とくに中小企業で新規事業・新サービスを考えるとき、重要なのは、業界特有の構造と企業風土を理解することです。
いきなり結果を求めすぎず、社員の意識を変え、組織の文化を育てていく。 そうすれば、あなたの会社も"新しい挑戦"ができる土壌が整っていくはずです。
焦らず、でも確実に。 ぜひ今日から、あなたの会社に合った新規事業の進め方を、見直してみてくださいね。
倉庫会社・作業請負会社が企業風土を変えようとするとき、自社独自のサービスをもつことも重要な選択肢です。
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